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原音の感動をフルレンジで伝えるウッドコーンスピーカー Victor「EX-AR9」

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ビクターから,ウッドコーンスピーカーを搭載したプレミアムモデル「EX-AR9」が発売になります。
これは,ビクター独自の「木」をスピーカーの振動板などに採用したコンパクトなシステムコンポです。
「ウッドコーンスピーカー」については,こちら

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場所は,数々の有名なミュージシャン達が使ってきた,青山の「ビクタースタジオ」。桑田佳祐ら「チーム・アミューズ!!」による支援ソング「Let's try again」でも使われていたのが記憶に新しいところ。

優しくあたたかい音色の楽器は,木でできているモノが多いので,音を出すスピーカーも木で作ったらどうだろう…と開発を続けて,はや20年。年々素晴らしいスピーカーを産み出しているビクターで,渾身の作とも言える「EX-AR9」の開発秘話を,聖地ビクタースタジオで見聞きできるというプレミアムなイベントでした。

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玄関では,「ニッパー」君がお出迎え。

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この日は,一般のお客さまも何回かに分けてこの「EX-AR9」の試聴会が開催されていましたが,実は最後に「モノフェローズ」専用の回が用意されていたのです。

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「スピーカー」は楽器でありたい。」と、日本ビクターH&M事業部開発グループの 今村 智さん
今までのスピーカーのコーンは、紙で作られるのが一般的でしたが、考えてみれば、紙の元は植物だったり木だったり。木のチップから作られる紙は木に比べると繊維もスカスカで強度もなく音の伝導速度もエネルギーの内部損失の量も木と異なります。
振動板を紙ではなくて木で作れば、もっと良い澄んだ音と響きがでるのでは?と開発を始めたのが20年以上前。
しかし、木で安定したクオリティを出すのには、かなりの試行錯誤があったようです。
また、木の繊維の方向によって、音質や音場、伝搬速度も変わることがわかり、だんだんに品質と音質をコントロールできるようになってきたようです。

木は、たとえば法隆寺の柱のように、建立したときよりも強度が高くなるという性質もあります。バイオリンも古くなるほど音が冴えると言われています。木のセルロースを結晶化する技術により、聞く人に安らぎや和みを感じさせてくれるウッドコーン製品群ができあがりました。
現在、このウッドコーンスピーカーは、ビクタースタジオの各部屋におかれ、高品位な再生音が高く評価され、最終確認用として使われているとのことです。すごいや、リファレンスモデルってことですね。

ビクターの考える「原音」とは、マスターテープのイメージとのこと。
スタジオでしか体験できないマスターが持つ音の魅力を、このプレミアムモデルで再現できるようにとのミッションがハード制作者に伝えられました。
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「音の基準をワンランク上げよう!」と言ったのは、ビクタースタジオ長の 高田 英男さん
「音楽を作る」現場での武器としてのスピーカーに仕上げようという命題を開発者に与えたのだそうですよ。

ということで、実際の「原音」を体験しようとのことで、場所を移動します。

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一般の人がここに入ることはまずない,ビクタースタジオ「202」のミキシングルーム。
こんな広大なミキサーを目の前にすると,それだけで感激です。

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よく見ると,「EX-AR9」システムが置かれています。

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後ろには,GENELEC製の大きなプロオーディオ用スピーカーが設置されています。遠近感はありますが,「EX-AR9」のコンパクトさ,わかりますよね。

要は,スタジオ用のラージモニタースピーカーと,プレミアムモデルの「EX-AR9」のスピーカーを,聞き比べて、音をトラックダウンしていくときに使えるスピーカーかどうか試してみようというわけです。

スタジオ用のスピーカーは,CDを制作する際に,原音を忠実に再現しつつ,「音楽を作って」いく過程で欠かすことのできない重要なものです。その原音再現性を,同じ環境下(設置の具合はもちろん違いますが)で,「EX-AR9」のスピーカーも,クオリティを維持したままCD作成に耐えうるかどうかというのを,僕らにも実際のミキシング作業を通じて,体験してもらおうというわけです。

まずは、声の再生から。
録音に使われたのは、リボンマイク、コンデンサーマイク、ダイナミックマイクの3種類。
リボンマイクは、立ち上がりのよいクリアな音質、コンデンサーマイクはやや柔らかく音に深みがでます。ダイナミックマイクはとても癖がなく一般的で中音がはっきりして聞きやすい音に聞こえました。
これは、ラージスピーカーでもEX-AR9のスピーカーでもあまり差を感じませんでした。
これって、すごいことですよね。

続いてウッドベースの再生を。
50年前のショップスマイク。なんと真空管が使われています。聞いてみると目の前で弾いているかのように感じます。響きが強くでるような気がします。ラージスピーカーと比較しても、ほんとにこの目の前にあるコンパクトなスピーカーから、この迫力のある音と真空管の響きが再現されているの?!ってくらい、びっくりさせられました。ラージスピーカとは、多少スケール感の違いを感じましたが、優劣を付けるような差はありません。だって、9cmのシングルコーンスピーカーですよ!

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用意して頂いたのは,ガラスに金を蒸着したCD。お値段なんと18万円。
こんなものがあるんですね。
普通のポリカーボネート製CDと聞き比べても,確かに音の輪郭が違うんですよ。
なんとなく,デジタルカメラでいうJPEGとRAW現像の差みたいなものがあるのかなと。
同じマスターなのに、不思議ですね。
もちろん、これをEX-AR9のウッドコーンでも聞いてみましたが、先ほどのラージスピーカーで聞いたときと同様、ポリカーボネートのCDとガラスと金のCDの差は、はっきりわかりました。ポリカーボネートのCDが悪いってわけじゃないんですよ。こんなどえらいCDが世の中にあるということに、度肝を抜かれました。

こんな感じで、文章では伝わりにくいかもしれませんが、ウッドコーンがレコーディングスタジオで使えるスピーカーであることを、わかりやすくデモしてもらいました。

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ミックスダウンの原理は簡単。チャンネル毎に同じスイッチが並んでるだけ…とおっしゃいますが,僕らには,とうていできる作業ではありませんよ。ミックスダウンは音楽作り、コンソールは手段にすぎないとのこと。

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「音」と「EX-AR9」を熱く語り,神業のミキシング技をデモしてくれた,エンジニアグループ長 秋元 秀之さん。
ウッドコーンだけで、ミックスダウンをするデモを見せていただきました。

モニタースピーカーとしての条件は、
1.自然な音色の表現
2.各チャンネルのバランスの再現力
3.解像力
4.音楽の表現力

もうね、これにこだわってやっていると、1日1曲のペースになってしまうそうですよ。
やっぱり、ハードだ(笑)。
で,AR-9は,この条件を満たしているものに作り上げることができました。
ビクタースタジオで音作りを進めただけに,「製品」ではなくて「作品」の域に達しています。

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「EX-AR9」をビクターダイレクトから購入された方には,このCDと簡易リモコンと
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シリアルナンバー入りのプレートがつきます。と,H&M事業部営業企画グループの安富 稔さん。

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今回の試聴会への一般参加者で,「EX-AR9」を購入された方には,さらに,このCDも配られるとのこと。
そそられます。

EX-AR7とEX-AR9の違いは,
EX-AR7をベースに更なる高音質化を図った「ビクターダイレクト専用モデル」であること。
ウッドコーンスピーカーのポテンシャルを引き出すために,さらにこだわりの技術を向上させました。

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スピーカー部には,センターキャップ内の木製吸音材を追加,ユニット磁気回路部への木材追加,非均等コルゲーションのユニットダンパーの採用,キャビネット内の響棒の見直し等々…。
写真は,スピーカーユニットの磁気回路部の装着木材を,チェリー材からメイプル材に変更して,形状を四角から八角形へ,さらに取り付け位置も最適化しています。不要な振動を低減する効果もあり,これにより解像度も向上し,低重心な低音再生を実現しています。

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EX-AR7とEX-AR9のセンターキャップのRの違い。
形状をR23からR15に変更。凸量を増やすことにより,聴感上,EX-AR7より,広がりのある抜けの良い高域再生を実現しています。

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音場空間をより拡大するために,トップの写真にあるように十字形に,伝播速度を向上させる異方性振動板を採用しています。
縦方向と横方向でバランスを取りながら,スピーカーのコンパクトさを感じさせないワイドな空間と解像度を実現しています。
EX-AR7とEX-AR9の音の広がりは,聞き比べてみて,あきらかに違いました。
小型のスピーカーは,特にステレオのバランスの良い位置が大きなスピーカーよりも広くなるのだそうです。
大きなスピーカーになるほど,聴く位置にこだわらなくてはいけないということですね。

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そして,職人技のウッドボイスコイルボビン。
80μm±10μm厚のウッドシートを削り出す技は,箱根の寄木細工職人が頼り。特に,刀の調整に匠の技が必要になります。一般的なペーパークラフトボビンに比べて,5倍以上の工程が必要になります。
目に見えないところに,こんなに手間をかけたパーツが入っているなんて…。

インシュレーターには,カタつくことのない,3点支持の真鍮無垢の削りだし。振動を抑えながら,重厚な低音再生を実現しています。

もう,こんなに「音」だけで,お腹いっぱいになる経験は初めて。
満腹でもう要らない感じではなくて,もっと音に浸りたい感じですけれど。

iPodやメモリーオーディオの普及により,圧縮された音をイヤフォンで聞くことが普通になって来た今日この頃ですが,「原音探求」のために,EX-AR9の開発陣がビクタースタジオのエンジニアを巻き込んで技術を投入した「音作り」への飽くなき挑戦。アーティストの想いをより忠実に伝えるべくオリジナルマスターを基準に磨き上げられたシステムコンポです。「高音質」を知らない世代にも,そしてかつてはスピーカーで聞いていたAVファンにも,音楽をスピーカーを介して聴いて感動できる希有なシステムです。

DVDは,見られるのですが,ビデオ再生としてのDVD規格が必要だったわけではなく,スタジオレベルの「DVDオーディオ」に対応しているところがミソ。CDのデータ量が650MB程度なのに対して,DVDオーディオのデータ量は,4.7GBと圧倒的な情報量の差があります。

気になる方は,ぜひ,オフィシャルサイトをチェックして,この感動を味わって頂きたいなと思います。

EX-AR9の予約キャンペーンは,ビクターダイレクトで,7月23日から8月11日までに予約した人を対象として,非売品の「原音探求ソフト」や「簡単リモコン」をプレゼントしています。

スタッフの皆さん,貴重な機会を与えて頂き,ありがとうございました。

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コメント

>>普通のポリカーボネート製CDと聞き比べても,確かに音の輪郭が違うんですよ。


うーん、文系ですが IT 関係者の観点から言うと、金を使おうがアルミを使おうが、色素を使おうが、ちゃんと 01 デジタルデータを正しく読めさえすれば、データは同じなので、音質には影響しないはずです。

デジタルデータは、エラー訂正があるので、少々の誤りは、データ的に正しく回復されます。メディアに物理的な傷やそもそものデータ欠損が無い限り、元のデータと同じになります。エラー訂正できない程のメディア等の欠損は、データ補完されるので、この場合はそもそものデータが欠損している壊滅的な状況なので、補完している分、音は変わるハズです。ただし補完が頻繁に行われるのであれば、最初の CD-R 作成時点で失敗しているか、メディアに相当な傷が付いてる状態かと。

音質の変化は、デジタルデータをアナログに変換する時だけで、 CD だろうが CD-R だろうが記録されているデータ自体は変わらないハズです。それがデジタルデータの利点だと思います。

マスターCD で金を使用するのは、通常の CD で使われるアルミよりも物質的に安定しているので、アルミより相当長く長期保存が可能なためだと思います。またガラスもポリカーボネートよりも長期保存の点で有利かと。


CD で高音質を求めるというのであれば、D/A 変換以降(今回のスピーカーとか)にお金を掛けた方が幸せな気がします。

ref:実際にエラー訂正と補完が行われるか調査された方のHP(どこまで正しいかは謎w)
http://www.k3.dion.ne.jp/~kitt/craft/audio/er_count/index.html

投稿: Neko | 2011.08.08 17:43

Nekoさん,コメントありがとうございます。
ってことは,この時聴いたポリカーボネートのCDが,プレスしてから,ちょっと時間が経っていたってことかなぁ…。
いや,ほんと,Nekoさんにも聴いていただきたかったほどなのですが,この耳のいい加減な僕でも,音の違いがはっきりわかったので,Nekoさんがおっしゃるようにデジタルデータのハズなのになんでだろ?って思ったんですよね。
また,ビクターの方に,お話を聞く機会があったら,この辺り追求してみたいと思います!

投稿: HAMACHI! | 2011.08.08 17:51

うーん、ポリカーボネートでもそんなにすぐ劣化するとは思えないけどなぁ。劣化してても、相当に酷くないとエラー訂正されて、デジタルデータとしては同一になると思うし、そもそもそこまで劣化してるので聞き比べる意味無いと思うけど・・・。
今回はスピーカーの話なら、音源は同じモノを使って、スピーカーだけ交換して比較だったんじゃないんです???


この辺の記事はデジタル的な目線での記事なので、参考になります。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010312/dal01.htm

(ちょっと最後は日和った感じですが)結局はデジタルデータ的には、同一になるということが書かれています。
それにメディアで変わっちゃったら、一昔前にあった DAT とかなんてもっと酷く変わっちゃいそうでしょ(^^;) 見た目アナログテープみたいだしw


音の優劣は、デジタルデータをアナログに変えてアウトプットするところで変わるとしか思えないです。

ってまぁ、オイラは全然オーディオマニアでもないし、耳も良くないので、音楽はほどほどに聴ければオッケーなんですけどねw

投稿: Neko | 2011.08.09 13:08

まず,ビクターのエンジニアに心から賛辞を贈りたいのです。

私は,以前趣味で自作スピーカーを制作しておりました。15から20年ほど前でしょうか? スピーカーの材質も,マグネシウム合金,ベリリウム,チタン,カーボン,セラミックなど様々なものがありました。

ところが,現在は高域が,多くがソフトドームです。ソフトドームが悪いというわけではありませんが,耳障りな共振音を出さないかわりに,音の解像度やリアリティに欠けるということは否定できません。

ビクターさんのウッドコーンには発売当初から,興味がありました。 ただし,初期のものは木質の「カチ,カチ」という共振音が解消されず,音の広がりやヌケのよさ,それに解像度もあまり高いものではなかったと思います。

ところが,ある日店頭で聴いたウッドコーン一体型のコンポ「EX-B1」の音に,驚いてしまったのです。その量感と音のしなやかさ,解像度が絶妙にバランスしているではありませんか・スピーカーを自作していた私は気がついたのです。コーンの全面に貼ってある異方向性振動板とやらがコーンの共振を抑制していることに,そこで,音も聞かずにEXーAR7を注文したのです。

家で聴いたときの,音のリアリズムは驚くべきものでしたた。一言で言うなら歌手の息づかいまでわかるような解像度をそなえていたのです。

それだけではありません。解像度の高いスピーカーなら他にいくらでもあります。ところが,このEXーAR7のすごいところは,その音楽性にあるといえるでしょう。弦楽器や管楽器の音の繊細さやしなやかさ,艶っぽさまで伝えてくれるのです。これまで,聴いたCDの音をすべて聴きなおしてみたいと感じさせるほど魅力的な音なのです。


ちなみに私の家ではチタン製のスーパーツイーターを10kHz以上でクロスさせ,さらに音の抜けや広がりを得ています。今後はこれにスーパーウーファーを組み合わせてみる予定です。


是非スマホのイヤホーンでしか音楽を聴いたことのない若者にもこの音の魅力をわかってもらいたいのです。

今オーディオは一部のマニアが凝る程度になってしまいましたが,このように聴く人を感動させるスピーカーを作り続けたビクターのエンジニアの皆さんに拍手をおくります。

投稿: 小林 克巳 | 2014.12.09 03:57

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