医療面接
医療面接の試験(OSCE)の評価者をしました。
「医療面接」とは,比較的新しい言葉で,「問診」がドクター側から観た,患者さんから必要な情報を収集するためという意味合いの言葉であるのに対して,ドクターと患者さんとの相互関係を重視し,患者さんとの信頼関係を築く目的で「問診」に置き換わるべく生まれた言葉です。ただ,「面接」というのもまだまだ堅く威圧的なイメージの言葉なので,「問診」と比べても,こなれていないわかりにくい言葉だと思うのですが。たぶん,「医療面接」という言葉を考えられたヒトも,medical interviewを直訳しただけで「医療面接」が分かってなかったんじゃないでしょうか。新しい言葉を考えるとしたら「医療対話」くらいかなぁ。
SPと呼ばれる,患者役として一定の標準的対応ができるよう訓練を受け,今回の試験のために予め状況設定を伝えられた模擬患者さんを前に,試験を受けるドクター(OSCEの場合,通常,学生が受験する場合が多いのですが)が,与えられた問診表と患者さんとの対話から,適切な態度で患者さんからの信頼関係を築きながら,聞き出さなければならない情報を引き出すという課題を採点する評価者として,数十人を相手に採点をしました。
卒業直後の若いドクターが今回の試験対象だったので,彼等はもうすでに「医療面接」についてもそれなりの教育を受けているはずなのですが,信頼関係を築くために一番重要な導入部分での患者さんに与えるイメージというのは,トレーニングしてもどうにもならない部分があるのかなぁと思ったり,学生時代から安心してみていられた人は,やはりこの課題も上手だったり,模擬患者さんと分かっていても雑な態度と対話でハラハラしてしまったり,評価する側としてもいろいろと考えさせられる部分が多い一日でした。僕たちから観て,「このドクターに見てもらいたい」という人だけ相手にしていれば楽なのだけれど,教育の場である大学病院というのは,そうではない人たちに対して時間を取られることが多いのです。
どんなドクターに対しても,きちんとお礼の言葉を述べられてから,相手のプライドを傷つけることなく内容についてのフィードバックをしてくださるSPさんに,改めて敬意と感謝の念をもつとともに,やはりこういった医療面接の課題を通して,僕自身,初心に返るという貴重な体験ができました。
<参考>
医療面接技法とコミュニケーションのとり方: 福島 統 (編集)メジカルビュー社
エビデンスに基づいた患者中心の医療面接: ロバート・C. スミス (著), Robert C. Smith (原著), 山本 和利 (翻訳)診断と治療社
医療面接法―よりよい医師―患者関係のために: C.Knight Aldrich (著), 田口 博国 医学書院
医学的面接のしかた―聞き上手、話し上手になる技術: 田村 康二 (著) 医歯薬出版
はじめての医療面接―コミュニケーション技法とその学び方: 斎藤 清二 (著) 医学書院
全部,コミュニケーション能力の欠如したどっかの教授に読ませてやりたい本です。
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