入れ歯でガン?ちょっと待って!
入れ歯は口内がん危険因子 長年使用や不潔が原因か
入れ歯は、口の中の粘膜表面にできる扁平(へんぺい)上皮がんの危険性を高めるとの研究結果を、新潟大の朔敬教授(口腔病理学)らが25日までにまとめた。同教授は「長年の使用で変形して擦れることや、アレルギー、手入れの悪さが原因だろう」として、定期的な受診を勧めている。 福岡市で29日から開催される日本癌(がん)学会で発表する。 朔教授らは、新潟大病院で受診した扁平上皮がん患者80人と、通常の浸潤性口腔がん患者100人を比較した。 上皮がんは、歯の治療を受けた人に多い傾向があり、入れ歯の周囲などでの再発は平均約3回と、通常のがんの3倍だった。また、口内のがんの主な危険因子とされる飲酒、喫煙の量は、上皮がん患者は通常のがん患者よりかなり少なかった。Yahoo!ニュース - 社会 - 共同通信
さて,問題は,このニュースを真に受けた患者さんが,「ガンができるから入れ歯はいやだ」と思ってしまう事。
注意が必要なのは,サンプル数が少ない事とこの教授が臨床とはちょっと離れた基礎系の講座の教授だという事,そしてもともとガン患者が研究対象である事。
まず,ガン患者さん180人というサンプル数。果たして統計的に有意な判断を明確に下せる数と言えるのでしょうか。詳しい内容を聞いた訳ではなく,ニュースそのものから推察すれば,もともとガンの患者さんが対象なのに,「上皮がんは,歯の治療を受けた人に多い傾向があり」っていうのは,論理的ではないし,この研究だけからは言えないはず。この教授は,実際の診察を毎日行っている歯科医師でない可能性もあるので,かなり対象や方法,考え方に偏りがあるかもしれません。
こんな書き方じゃぁ,患者さんが不安に思うだけなので,この記事をニュースにして配信した共同通信社の担当さんは,もう少しフェアにニュースを扱った方がいいと思うなぁ。
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