対テロ戦争成果無く，ブッシュ大統領の支持率アップ

アメリカの同時多発テロから１１日で３年。

アメリカ政府は国際テロ組織「アルカイダ」を中心とするイスラム過激派の封じ込めに躍起になってきたが，テロは中東，ヨーロッパ，アジアへと拡大し，世界は安全から遠ざかりつつあるようにも思える。

アメリカのブッシュ大統領はイラクの旧フセイン政権とアルカイダに関係があると主張してきたが，結局，現時点まで両者を関連付ける証拠はなく，大量破壊兵器の痕跡も見つからず，イスラム教徒はもちろんの事，イラク戦争が「対テロ戦争」ではなく，石油のための侵攻であったと考える方が自然であるように思えてきている。肝心のイラク情勢は依然として不安定で，アメリカ軍の死者は１０００人を超え，イラクに主権移譲する前よりも急速に拡大している。しかし，９日に発表されたワシントン・ポスト紙とＡＢＣテレビの合同調査では，ブッシュ大統領が５２％と今年初めて過半数に達し民主党候補のジョン・ケリー上院議員を９ポイント上回った。

８月３０日から今月２日まで開かれた共和党全国大会後に行われた主要メディアの世論調査はいずれも，大統領の支持率が増していることが，米主要メディアの複数の世論調査で明かとなっている。その反面，米大統領選(11月2日)について、日本を含む３５か国で行った世論調査結果では，「ブッシュ大統領とケリー上院議員のどちらの勝利が好ましいか」との質問で，ケリー氏支持が上回った国は３０か国に上っている。 ニューヨークでは共和党全国大会の会期中「反ブッシュ」を訴える２００以上のイベントが行われた。

「空っぽのポケットに，英語もできないまま渡米した少年がカリフォルニアの知事になっている。これがアメリカンドリームだ」，「アメリカでは，どこで生まれたかで将来は決まらない」と「アメリカの自由」を称賛。「アメリカは私の夢をかなえてくれた。だからこの国，この党，そして，この大統領を私は信じるのだ」と続けて，共和党員から喝采を浴び，「移民の仲間たち」と無党派層に共和党への投票を呼び掛けた。

地元カリフォルニア州の世論調査（８月）では，ブッシュ大統領の支持率４０％に対しシュワルツェネッガー氏は６５％。米国大統領は「米国生まれであること」と規定されているのにもかかわらず，９月始めの調査では，次期(2008年)大統領候補に，オーストリア出身のアーノルドシュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事を推す人も２２％にのぼった。

ニューヨーク市検視局発表の世界貿易センタービル(WTC)での犠牲者数は，現在２７４９人。遺体や身につけていた品物などから身元確認されたのは１５６８人。発見された部分遺体は１万９９１５体。日本人の犠牲者は２４人。ハイジャック機突入で崩壊したWTCからの遺体確認作業は，今も続いている。

＜参考＞
ブッシュ大統領優勢に…党大会後、支持率一気に回復(YOMIURI ON-LINE)
国外世論はケリー大統領…３５か国中３０か国で上回る(YOMIURI ON-LINE)
米同時テロ：１１日で発生から３年　対テロ戦争は成功せず(MSN-Mainichi INTERACTIVE)