PASMO(パスモ)が抱える問題
2007年3月18日(日)より,JR東日本のSuicaと互換性のある共通ICカード乗車券「PASMO」のサービスが開始されます。
3月18日以降は,JR東日本と27の鉄道と32のバスが,SuicaあるいはPASMO,どちらか1枚のカードで乗り降りできるようになります。利用可能な交通機関は106社まで拡大される予定(この記事の一番最後に,平成19年3月18日(日)より,サービスを開始する鉄道事業者のリストがあります)。
<平成19年3月15日追記>
以下の文章は,平成18年5月に作成,更新されたものです。
多少データが古かったり,読みにくくなっているところもあるので,本日「PASMOのメリットとデメリット」について,簡単にまとめてみました。よければ,こちらからご覧下さい。
「PASMO」は,現在,私鉄・地下鉄で利用できる磁気型乗車券「パスネット」の非接触ICカード版。新しい機能としては,PASMOとクレジットカードとを紐付けることで,残高が一定額を下回ると自動的にチャージする「オートチャージ機能」が便利そう。これは,残額があらかじめ設定した金額を下回ると,改札にタッチした際に自動的にチャージされるというもの。(使えるクレジットカードがSuicaの時みたいにVIEWカードのみとか,限定的だと,やだな)
<首都圏私鉄の自動改札機やバスの料金支払機にはICカードリーダーが据付済(目隠し中)の2007年1月17日追記>
パスモのスタート時には,オートチャージに使用できるクレジットカードは,JCB,三井住友カード,UFJニコスが発行する「Pastown(パスタウン)カード」と,PASMOに参加する事業者系のクレジットカードのみとのこと。SuicaとViewCardの二の舞,これ以上クレジットカードなんて持ちたくない人が多い中,ユーザーの利便性を無視した制限ですね。相互乗り入れを受け入れてくれたSuicaに遠慮したのかな?独自のポイントがつくシステムも6月から始まるようですが,専用クレジットカードユーザーのみですし。
将来的には,バス向けサービスとしてユーザーの利用に応じた還元システムを提供するとのことで,これは,現在のバスカードについたプレミアム分に代わるもの。また,同時に,Suicaでも私鉄や地下鉄、バスに乗り降りできるようになるとのこと。
不透明なのは,この還元システム。今回のプレスリリースでは,バスの還元システムについては,触れられていないので,たとえば都バスではどうなるかとか,Suicaでは還元されるのかといったことについては,対応がわかりません。ユーザーの利便性を考えれば,JR東日本の(今はなくなってしまったけど)オレンジカードのように,バス以外にもプレミアム分を復活させて欲しいけど,バスでPASMOのみの対応になるのでしょうか。できれば,一日券もわざわざ買うことなく,一日の利用額が一日券の値段になった時点で,それ以上は引かれないようなサービスも実施してくれると,いいなぁ。
<2007年1月17日追記>
PASMOではSF(Stored Fare;カード内にチャージ(入金)された,運賃に使用できる金額)によって支払われたバスの料金に対してバスポイントが付与され,1,000バスポイント毎に「特典バスチケット」が付与される仕組み。ポイントは,PASMOだけでなくSuicaでも同じように付与される。特典パスチケットが従来のプレミアム分に相当するとのこと。(累計ポイント数によって付加される特典額には段階があったり,実際の金額じゃないので,かなりわかりにくいですね。)例えば,都バスの場合,1000ポイント毎に特典が加算されるので,1カ月に5000ポイント以上使う人でなければ,損になる可能性もあります。バスカードがあるうちは,バスカードの方がお得なようです。(都バスの例)
さらに,パスモは,一人で使うのが前提なので,子ども連れなどの場合も今までのバスカードを使う方が手間がないような…。
もうひとつの問題は,ユーザーがSuicaとPASMOを同時に持つことで,今までは,Suicaの入った定期券入れやサイフをポンとタッチするだけでよかったモノが,わざわざ取り出して使わなくてはいけなくなること。これ,けっこう不便ですよ。JR東日本でSuica,私鉄や地下鉄で磁気のSFメトロカード(パスネット)と,それぞれ使い分けていたのが,両方とも非接触型になることで,共存できなくなってしまいます。まぁ,ゆくゆくは,Suica系のPASMO機能とPASMO系のSuica機能が同等になればいいのですが,それぞれ別会社,別システムなので,話し合いがそううまくいくかどうか…。ポイントもからんでくるし…
<2007年1月17日追記>
PASMOとSuicaは交通機関利用時の基本的なサービスを共通化し,どちらか一枚の交通ICカードがあれば,首都圏のほとんどの鉄道,バスを利用することが可能とのこと。PASMO,Suicaいずれにも,バス定期券を載せて発売することも可能とのこと。バス共通カードとパスネットカードは,いずれ廃止される方向に。
電子マネーとして同等だとすると,PASMOとSuicaが同時に存在する意義はどこ?クレジットカード事業者のみかなぁ…。Suicaよりもユーザーを増やしたいと思うなら,オートチャージに対応したクレジットカードを増やしておけばよかったのに…。あまりに囲い込み策に走りすぎると,ユーザーに受け入れられなくなるとは考えられなかったのかな。まぁ,いずれ,そうなるとは思いますが。
鉄道の乗車に応じてポイントがたまるのは,京王電鉄,小田急電鉄,東京メトロの3社。もし,PASMOオートチャージサービスに対応したクレジットカードを現時点で作るとしたら,やはりANAとの提携も発表された,東京メトロのToMeCARDになるかな。ポイントだけじゃなくてマイルへの移行もできるのは,マイラーにとっては,うれしいところかも。東京メトロの「SF乗車ポイントサービス」は,東京メトロ線の1乗車につき2ポイント(ゴールドカードは5ポイント)で,1000ポイントたまると1000円分カードにチャージできる仕組み。でも手続きがちょっと面倒なんですよね。ポイントには最長2年の期限があるので,ポイントを死蔵しやすい企みにもご注意を。地下鉄をあまり使わない場合,基本は,自分がよく使う鉄道やデパートのカードということになりますよね。逆にパスモ(PASMO)と相互利用可能で,関西ではICOCAとしても利用できるJALカードSuicaという選択もあるかも。
注意が必要なのは,PASMOオートチャージサービスを利用するには,オートチャージサービス機能付きの「PASMO」と,これにヒモ付けして指定された利用代金支払い用の「クレジットカード」をあらかじめ申し込んでおくことが必要なこと。駅でもパスモは購入できるのですが,これだとオートチャージサービス機能には対応しません。あとは,バス車内ではオートチャージができないことにも,ご注意を。オートチャージサービスに有効期限があることも,意外と盲点かも。パスモに定期券の機能を追加した場合は,届いたオートチャージ機能付きのPASMOをもって,定期券発売窓口に行くことになります。通常のPASMO定期券には,オートーチャージ機能を乗せる事はできません。
さて,PASMOとSuicaを複数枚同時に定期入れにいれて,改札を通過するとエラーが出てしまいます。最近は,社員証にSuicaの機能を追加したものも出てきたり,運転免許証も非接触型のICカードになったりして,それぞれのカードの干渉で,うまく改札を通れなかったり,バスの料金が支払えないというケースが出てくることが予想されます。で,この現象に対応した干渉を防止するもう一枚のカードを間に入れることで,どうやら回避できるようです。下の<参考>をご参照下さい。ただし,SuicaでもPASMOのカードでも残高から引かれてしまうので,使用する面を間違わないように注意する必要があります。
あとは,Suicaでも始まっているオートチャージ機能が,改札通過時のみだと,けっこう不便かも。買い物はしづらくなりますよね。まぁ,商品購入時にオートチャージができなければ,かえって衝動買いの抑止力にはなるかもしれませんけれど。
ともあれ,バスと地下鉄が一つのカードになって,そのカードでJR東日本の電車にも乗れるようになるのは,とりあえず便利です。Suicaとパスモは,発行母体が異なるものの,利用できる交通機関や機能は同じということになるので,しばらくは,Suicaだけで様子を見る人が多いのでは?
バス共通カードやパスネットの残高をSuicaにチャージできるようになると便利なんだけどな。バスカードは,プレミアム分があるから,無理そうだけど。あとは,SFにチャージした金額を,現金化できるサービスとかも便利かも。
<2007年2月1日追記>
「スイカ」と「パスモ」乗り継ぎは苦手?割高の場合も(Yomiuri Online)
乗り継ぎ割引運賃が設定されているJR線から他の私鉄や地下鉄,その後またJR線に乗り継ぎをする場合の一部区間では,SuicaあるいはPASMOで改札を通ると,通常の運賃よりも割高な金額が引き落とされることが判明。
割引を受けたい場合は,あらかじめ自動券売機で乗車券を購入必要があります。
この不具合は,しばらく解消される見込みがない模様。切符を買わないですむのが利点のSuicaとPASMO。この不具合,1年以上前からわかっていたのに,解決されずに3月18日のスタートを迎えてしまうようです。割引のためには切符をわざわざ買わなくてはいけません。スイスイSuicaというわけにはいかないのは,SFカードの名折れですよね。当該区域を利用される方は,ご注意を。
<参考>
Suicaで地下鉄、バスにも乗れる――2007年3月から (ITmediaビジネスモバイル)
非接触乗車券「PASMO」、電子マネーサービスの概要が明らかに (インプレス・ケータイWatch)
「お得さ」アピール「パスモ」開始まで1カ月 (SankeiWEB・経済)
非接触式ICカードに記録された個人情報の盗難を防ぎます!財布や定期入れに重ねて入れるだけ!「スキミング防止カード アザラシ 」
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平成19年3月18日(日)より,サービスを開始する鉄道事業者
2007年度以降導入予定の事業者
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コメント
本日の発表で懸念点についてかなり明らかになりましたね。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0612/21/news058.html
投稿: ひろ | 2006.12.21 17:54
ひろさん,古い記事なのに,探し出して頂き,タイムリーなフォローを,ありがとうございます!
バスのプレミアムについては,10年間有効とのこと,できればJR東日本も,プレミアムをつけるようになって欲しいですね。
こんな記事もみつけました。
関東私鉄の非接触IC乗車券「PASMO」、来年3月18日スタート
ケータイへの対応は,少し時間がかかりそうですね。
投稿: HAMACHI! | 2006.12.22 00:53
はじめまして。パスモは、乗り換えや清算の時に、コミュニケーションが
トラブルの元になります。
投稿: ラビット | 2007.03.30 03:19
記事の紹介&トラックバックさせて頂きました。
パスモは便利ですが、やはりスキミングがこわいですね。
ということで、スキミングに関しての記事を・・・
投稿: トラックワード | 2007.03.30 13:12
ラビットさん,コメントありがとうございます。
便利なところも多いと思うSUICAやPasmoですが,お体のご不自由な方々にとっては,まだまだ改良すべき点や対応の不備があるのですね。
勉強になりました。
トラックワードさん,コメントとリンクでご紹介ありがとうございます。SUICAもPasmoもフェリカは,混雑時のスキミング,やはり気になります。ブログのテンプレートも参考にさせてください。
投稿: HAMACHI! | 2007.03.31 11:08