こだわりから生まれた,家電メーカーに作れないテレビ「FORIS.HD DT24ZD1, DT27ZD1」
2007年11月17日(土)と18日(日)に秋葉原のリナックスカフェで開催されていた「EIZO 秋の大収穫祭 2007」。サイバーバズさんからのご招待で,この後に開かれた新製品の説明体験会に参加しました。
高品位のPCモニターメーカーとして,デザインや出版業界でも一目置かれているナナオが,ブランド名をEIZOに名前を変えたのが1996年。もう10年以上経っているんですね。
実は,ナナオは,もともとOEMのテレビメーカーで,スペースインベーダー(懐かしいっ!)に色を付けたのが,ナナオってくらい由緒正しい歴史がある会社です。さすがにブラウン管は,2年ほど前に生産終了していて,今は液晶モニターのみ開発,国内で生産しています。
そして,定評あるパソコン用モニターディスプレイの「ナナオ」がEIZOのブランド名で再びテレビの生産に乗り出したのが,2004年。長年培った画像処理技術を投入して,あくまでも自然な画質を求めたのが,スタンド・スピーカー一体型の液晶テレビ「FORIS.TV」です。
「FORIS」とはラテン語で“扉”。
高画質・高品位のデジタルコンテンツをより気軽に楽しめる,次世代につながる「扉」となる製品として開発したとのこと。
↑この青は,「加賀群青」と呼ばれる色で,ナナオのある石川県にちなんだ色。「フォリスブルー」とも呼ばれています。そうそう,「ナナオ」は,石川県の七尾市にあるのではなくて,金沢市から車でしばらくの白山市にあります。
フロアスタンドとDVDプレーヤーも一体化させた「FORIS.TV」。背面の見栄えと使い勝手にもこだわったオリジナルなデザインから,セレブな方の指名買いも多いとのこと。でも,画質はもちろんのこと,音質にもこだわって,よりよい音を出すためには,それなりの空間が必要で,画面とスピーカー面が1:1と特徴的な比率になっているのは,単なるデザインというだけではなくて,ちゃんと意味があったというわけです。
そんな液晶テレビ「FORIS」シリーズに,この11月,新カテゴリのフルハイビジョン液晶テレビ「「FORIS.HD」」が追加されました。
「FORIS.HD」には,地デジ対応液晶テレビ「FORIS.TV」と違ってDVDプレーヤーを内蔵せず,従来のPCモニター同様,PCデスクやテーブル上への設置を想定したモデルです。PCモニターの使用環境は,リビングのテレビと異なり,ほぼ一人が占有するとてもパーソナルな空間になります。このパーソナル空間を,クオリティの高いAV環境にしてしまおうというのが,このFORIS.HD。
液晶テレビ「FORIS.HD」は,その形状からもPCモニターとしても違和感なく,ナナオでは,「テレビとパソコンの融合進化を実現する映像ターミナル」と位置づけています。
デスク上への反射音を利用するスピーカーの配置は,ピラミッドの建造にも用いられたという「ピタゴラスの定理」を実現したデザインになっています。人間の英知の出発点ともいえるこの定理がFORIS.HDのデザインの中心になっています。
モニター前面下部には斜め下向きに50mm径のフルレンジユニットを採用したステレオスピーカーを搭載しています。
中音域は,いわゆる人の声がハッキリと聞こえる,イヤミのない自然な音。でも今までのスピーカー付きモニターとは,一線を画しているのはすぐわかります。スピーカーのパーツもナナオの自社生産なのですが,開発は,ONKYOと一緒にやっているそうです。と書くと,オーディオ好きな人には,スピーカーのキャラクターが伝わるかもしれませんね。限られた空間を有効に使うためのスピーカーの設計,かなりこだわったようですよ。
せっかくの低音を増強した高音質なサウンドを楽しむためには,ちょっと条件があります。例えば,FORIS.HDを置く台には,テーブルマットやクロスをひかないこと。モニター下部から下向きに発せられる音声が一度,デスク表面で反射して音が広がる仕組みなので,硬い表面でないとその反射率が悪くなってしまうからだそうです。なるほど。
スピーカーには,高音を拡散させるディフューザー付き。
オリジナルソースにあるサラウンドの音声信号も,ちゃんと解釈されて2チャンネルに変換されて音が出てきます。デスクトップテレビなので,すぐ前で映画を観ながらサラウンドを聞いていると,ゾクゾクしてくるほど音の広がりと包み込まれ感を感じます。この「一体感サウンドシステム」があるので,すぐ前で観ていても疲れない音質とナチュラルな高画質は,こんなところでも効いてきます。
前回,EIZO FlexScan HD2441W/HD2451Wお披露目の時に,「BOSEのスピーカーを内蔵してよ!」と言ったときに,説明の方がモゴモゴしていたのは,こんな隠し球があったからかも。
モニターにスピーカーが内蔵されていれば,新たにスピーカーのために場所を確保しなくてもすみますからね。そうそう,PinPもできますよ。デモ機で,Macのデスクトップ画面の中に,テレビ放送の子画面が表示されているのをみたら,Macにテレビチューナーをわざわざ接続する必要はないなと感じました。残念ながら,テレビを親画面にして,子画面にPC画面を表示することはできません。PC画面の方が高画質すぎるから,現在のところはできないとのこと。
ものぐさなヒトのために,モニターを360゜回転させるスウィーベル機能の他に,上下に傾けることができるチルト機能も搭載。そう,寝っ転がりながら,テレビや映画が観られるってことですよ。ありがたい!ヘッドフォン専用端子も側面についてます。
FORIS.HDは,2007年度グッドデザイン賞も受賞。オーディオビジュアルの機能的には,ビジュアルグランプリ2008も受賞。上の写真は,FORIS.HDの天板。あまり見られることのない部分にも,手を抜くことがありません。
「FORIS.HD」の解像度は,1,920×1,200ドット。1080pのフルハイビジョン映像(1,920×1,080ドットの映像)をFlexScanでもお得意の,ドット・バイ・ドット(補間や間引きの無いありのままの形)で表示するモードも備えています。搭載チューナは地上/BS/110度CSデジタルチューナを内蔵。通常のテレビ放送だと上下に隠れている部分まで表示できてしまうこともあるほど。
映像ソース本来の色調やなめらかさを忠実に,ナチュラルに表現することを第一に。これをナナオは,「ナチュラルコンフォート」と呼んでいます。PCディスプレイのFlexScan 2451Wにはなかった「1080/24p」対応。これは,映画が1秒間に24コマ表示される仕組みをテレビでも映画館と同様に,制作者が意図した映像とフィルムの質感を再現する仕組みです。テレビは,毎秒60コマ表示されるわけですから,通常,映画をテレビで観るときは,2倍以上,コマとコマの間が何らかの形で補完されているわけです。コマとコマの間の画像というのは,いわば,テレビが勝手に作り出した,もしかしたら制作者が意図しない映像かもしれません。
地デジ放送を,FORIS.HDでしばらく観ていましたが,まぁ普通にきれい。でも,ブルーレイのデモディスクに切り替えた途端,ビックリしました。ため息が出るくらいのリアルな音と映像が,自分だけの空間に広がります。さすが,「デスクトップハイビジョン」と呼ぶだけのことはあります。
目が疲れない高画質。聞いていて疲れない自然で豊かな高音質。あまり派手ではないために店頭デモでは逆に目立たないかもしれないので,直営店「EIZO Galleria ガレリア」などで是非体験してみてください。
他社製のDVDレコーダーなどの周辺機器も一緒に操作できるマルチリモコンを付属。来年には,デザインと機能をバージョンアップした専用リモコンが出るというお話。
直販価格は27型が147,000円,24型が126,000円。だとすると,同じEIZOの24型で比較すると約12万(ダイレクト価格)のFlexScan 2451W/2452Wと悩むところ。2451W/2452Wにボーズのスピーカーを付けると約20万円になるので,それだったら,24型のFORIS.HDかな?と選択に困るところかも。
FlexScan2451WとFORIS.HDの違いは,PCモニターメインか,テレビメインかというところ。テレビを見る時間とPCを触っている時間のバランスを考えて購入してくださいとのこと。より高精細なPCモニターディスプレイを,テレビよりも長時間使うという方はFlexScan2451Wを,AVソースやテレビをより長く観るという方は,FORIS.HDを選択するといいでしょう。FlexScan2451Wには,チューナーが内蔵されていないので,外部チューナーやアンプの電源を入れるという操作がワンステップ必要になるということを考慮した方がいいヒトもいるかもしれません。
また,FORIS.HDには,PCの入力端子は,DVI-Iがひとつだけついています。なので,複数台PCやMacを接続したい場合は,モニター切り替え機を間に入れる必要があります。著作権保護機能を備えたデジタル伝送のための端子「HDMI」は,3系統ついているので,複数台のゲーム機やHD DVD,ブルーレイ(Blu-ray)レコーダーなどを接続して,フルHDコンテンツを楽しむことができます。
FORIS.HDとFlexScan2451Wはどちらも,PCもTVもというヒト向けの製品なのですが,おおざっぱな分け方ですが,液晶モニターならFlexScan2451を,液晶テレビならFORIS.HDという棲み分けになるようです。
スピーカーとデジタルチューナーのあるなしで選ぶとすれば,価格的には,フルハイビジョン液晶テレビ FORIS.HDに落ち着くかな。AVセンターのモニターとしての用途なら,FlexScan HD2451Wといったところでしょうか。
1000台限定の特別カラー「Limited WHITE」
さまざまなインテリアにマッチするFORIS.TVの清潔感あるホワイトモデル。20,26,32型があります。販売期間は,2008年3月末までですが,1000台に達し次第,生産終了になります。
EIZOダイレクト・EIZOガレリアで先行予約受付中
フルハイビジョン液晶テレビ FORIS.HD
20007年11月30日(金)発売です。
<参考>
液晶TVとPCディスプレイは両立できたか――ナナオ「FORIS.HD」を試す(IT media +D)
PCもAVもEIZOクオリティのAVセンター。24.1型ワイド液晶「FlexScan HD2451W」レビュー
<12月14日追記>
ナナオは、同社の液晶テレビ「FORIS.HD DT24ZD1」および「FORIS.HD DT27ZD1」の一部製品で、ヘッドホン端子の不具合が発生していると発表しました。同製品購入者にダイレクトメールなどで告知し,正規品との交換を行っています。なお,現在販売している製品はこの不具合は発生していないとのこと。
●問い合わせ
専用フリーダイヤル:0120-011-312
専用e-mailアドレス:dtxxzd1@eizo.co.jp
受付時間:月〜金曜 9:30〜17:30(土日祝日および2007年12月29日〜2008年1月7日は除く)
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