コンデジからのステップアップに「ニコンD5000」。モノフェローズセミナー&実写・試用レビュー<その3>まとめ
5月1日に発売されたニコン・D5000。
みんぽす・モノフェローズ向けに,いち早く開催されたセミナーと撮影会で,D5000に触って,写真をたくさん撮ってきました!
これまでのセミナーレポートは,こちら。
1.下開きバリアングルモニターのニコンらしさ。
2.2度と来ない特別な瞬間のために。「ニコン・D5000」開発秘話
3回目の今回は,ニコン・D5000のさらなる特長や機能,使い勝手,画質など,購入前に気になる点をピックアップして,短時間ではありますが試用した感想,評価,セミナーで感じたことを,実写レビューとしてまとめていきます。
D5000の使用説明書やクイックスタートガイドがオフィシャルサイトからダウンロードできるようになりました。
髪の毛の質感,繊細さ,顔色,服の素材の再現性,いいですよねぇ。なにも考えずに撮って,フラッシュ,オン・オフともに,こんなにキレイに写真が撮れるD5000。これまでの2回の記事で書ききれなかったことなどを,みていきましょう。
このレビューは家電・PC・携帯・ゲームレビュー・クチコミサイト「みんぽす」から商品を無償でお借りして掲載しています。(詳細は末尾で)
世の中,エントリークラスのビギナー向けデジイチ(デジタル一眼レフカメラ)がひしめき合ってます。ちょっとあげてみると…,
↓
ソニーからは,
α200 1020万画素CCDセンサー,ボディ内手振れ補正あり,動画無し,バリアングルモニター無し。α300(1020万画素CCD),α350(1420万画素)は,ボディ内手振れ補正あり,動画無し,ティルト液晶あり。
キヤノンからは,
キスデジEOS Kiss X3 1,510万画素CMOSセンサー,HD動画あり,バリアングルモニターは無しj,
ニコンは,
D5000の下にもD60がいます。1020万画素CCDセンサー,動画無し,バリアングルモニター無し,
ペンタックスは,
K-m。1020万画素CCDセンサー,ボディ内手振れ補正あり,動画無し,バリアングルモニター無し,
オリンパスは,
E-420,E-520。1000万画素 4/3型Live MOSセンサー,ボディ内手振れ補正(E-420無し,E-520あり),動画無し。バリアングル無し,
といった具合。
D5000のパーツ分解写真(D5000で撮影)
世界で3台しかない,撮影可能なD5000のスケルトンモデル(D5000で撮影)
で,NikonのD5000は,上位機種D90譲りの1230万画素CMOSセンサー,HD動画有り,バリアングルモニター有り
コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)では,どの機種もほぼファインダーがなくなって背面の液晶でリアルタイムに被写体が表示される「ライブビュー」。デジイチでも,もう当たり前になりましたね。いや、僕のPENTAX K10Dは、まだのやつですけど(笑)。
Nikon D5000実写サンプル AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 55-200mm F4-5.6G(IF) (拡大,オリジナルファイル)
普段,コンデジで撮っている人がデジイチを持つと,顔の前でカメラを構えて,「どこに写るの…?」と言うのが今までは多かったんですが,ライブビューを搭載しているデジイチなら,そんなこともありません。フレーミングもハイアングル(高い位置からの構図),ローアングルと,自由自在です。
あ,そうそう,デジイチを初めて持つコンデジユーザーさんの構えって,コンデジの持ち方のままなことが多いので,レンズを左手で下から受けて支えるような持ち方をすると,バランスも良くなるし,それっぽく見えるので,ぜひ(笑)。
同じモノフェローズのgomaさん所有のD60(左)とD5000の比較写真。
サイズ的には,バリアングルモニターが付いている分,ちょっと大きくなっているのですが,あまりわからないですね。この記事の一番上の写真もそうですが,トップのペンタ部とポップアップフラッシュの半紡錘形のデザインは,D5000の方がかっこいいと思いません?
重さとサイズの比較は,こんな感じ。
D5000のサイズと重量約127×104×80 mm(W×H×D) 560g
D90のサイズと重量:約132×103×77mm 620g
D60のサイズと重量:約126×94×64mm 495g
重さは,D90とD60の中間。サイズ的には,D90寄りってところでしょうか。エントリー機としてはやや大きめな方だと思います。バリアングル液晶モニターが内蔵されていて、この大きさに収めたのは,さぞかし大変だったと思います。
で,
エントリークラスのデジイチでは,コンデジでできたことが,デジイチでできない…ということがないように,内蔵されている機能が考えられているんでしょうね。
D5000動画サンプル(音が出ます。)
例えば,コンデジで当たり前の動画。デジタル一眼レフカメラでは,まだ,付いていない機種の方が多いですよね。Nikonでは,デジイチの動画を「Dムービー」と読んでいます。レンズを交換する楽しみ,高感度なデジイチならではの暗いところでの撮影などが楽しめる機能です。「Dムービー」の記録サイズは,高精細テレビ(HDTV)での再生に適した1280×720から640×424,320×216までの3つから選べます。上の動画は、640X424で撮影したもの。ジェンガの倒れる音に驚いて画面が揺れちゃいました(笑)。
一般に売られている家庭用ビデオカメラとの最大の違いは、1.レンズが交換できるところ,2.センサーがデジイチの方が相当大きいことです。
CCDやCMOSの撮像センサーは,大きい方がボケが出やすいのは,動画でも静止画でも同じなんですね。
デジタル一眼レフの動画は、映画やビデオクリップにも使われ始めているようですよ。
ニコンのオフィシャルサイトにもD90で撮影されたショートムービーが紹介されています。
例えば,シーンモード。デジイチなら自分で,色合い,絞り,シャッタースピードを設定して撮るのが一眼レフ流なのかもしれませんが,そんなことを言っていたら,ユーザーが逃げてしまいます。ポートレートや風景などよく使う6種類(ポートレート,風景,こどもスナップ,スポーツ,クローズアップ,夜景ポートレート)のシーンモードは、上の写真のように撮影モードダイヤルからアイコンを直接選んで使えます。
顔認識や被写体に焦点を合わせ続ける「ターゲット追尾」機能なんていうのも,コンデジから始まった機能ですよね。D5000には,これ,全部ついてます。D5000のターゲット追尾ですごいのは,一度ターゲットした被写体が,モニターから外れても,すぐに戻ってくれば,再度ターゲティングされること。
その他の13種類のシーンモード(夜景,パーティー,海・雪、夕焼け,トワイライト,ペット,キャンドルライト,桜,紅葉,料理,シルエット,ハイキー,ローキー)は、撮影モードダイヤルを「SCENE」に合わせて,上の写真に見える「コマンドダイヤル」を回して選べます。そうそう,ここにラバー素材を貼ってあるのも,ニコンならではの気遣いです。細かい!
最初は,シーンモードの候補が多すぎて,削るのがとても大変だったそうです。例えば,世界遺産,60年代,70年代,80年代,90年代風とか,テレビを撮る…,なんて、個人的には,どんなものかちょっとみてみたいシーンモードも。
D5000のシーンモードの中で特におすすめなのは、「桜」だそうです。D5000の発売が東京の桜に間に合わなくて,開発者の方は,かなり悔しがっていました。ま,来年の桜待ちってことで。
あとは,オートブラケットと対で,HDR(ハイダイナミックレンジフォト)に対応しちゃったりしたら,すごいんだけどな…。
D5000実写サンプル ポートレートモード AF-S DX NIKKOR 18-55mm F3.5-5.6G VR (拡大,オリジナルファイル)
で,撮影した画像は,コンデジの画像を遙かに超える画質。上の写真でも,艶やかで繊細な髪,健康的な肌色,布地の表面処理,D5000は,かなりリアルに写し取ってくれています。
僕が今使っているK10Dでは撮れない写真がたくさん撮れてしまって,D90を試用した時から,ニコンのデジイチ欲しいなぁと、ずっと思っているところです。
さらには,撮った画像を編集する機能も15種類(D-ライティング・赤目効果・トリミング(3:2、4:3、5:4、16:9、1:1)・モノトーン(白黒、セピア、クール)・フィルター効果(スカイライト、ウォームトーン、赤強調、緑強調、青強調、クロススクリーン、ソフト)・カラーカスタマイズ・スモールピクチャー・画像合成・RAW現像・簡単レタッチ・傾き補正・ゆがみ補正・魚眼効果・塗り絵・アオリ効果)と,かなり充実しています。アオリに対応するんだったら、もうちょっと頑張って、ティルトにも対応して、ミニチュア写真風に編集できちゃうと、かなり面白いのに…。
パラパラ漫画をつくる「ストップモーション」作成機能,これ、カシオのダイナミックフォトなんかと組み合わせられると,もう,楽しさは完璧ですよね。
パソコンが無くても,画像処理ができるのは,便利ですよね。
塗り絵は,子供も,もしかしたら大人も,喜びそうな機能です。
D5000の質感ですが、エントリーモデルにありがちなプラスティッキーでチープな感じは全くありません。上位モデルのD90の仕上がりと遜色ないように思えます。
D5000には,ベベルが多用されていて,例えば,上の写真は、背面液晶モニターを格納したところ。
ここは,鞄などに入れたときに,液晶パーツが引っかかったりしないようにする工夫だそうです。
こちらは,D5000の底面に施されたベベル処理。お料理で言えば、「面取り」ですね。カメラを構えたり持ち歩いたりするときに,角が当たって痛くないようにとの心遣い。
こんなの言われなきゃわかりませんが,他のと比べると「あれ?,なんか違うな」って思うんでしょうね。
D5000の開発初期モデルは,3型の固定モニターでバリアングルじゃなかったんだそうです。
バリアングルは,強度的な信頼性をあげないといけないのは,わかっていたし,モニター可動式へのユーザーからの声が大きくなっているのも感じていたので、なんとかしたいという思いが,やっと実現。
でも,最初は,こんな太いヒンジのデザインもあったんですね。触り具合をチェックするための白モックですが,ニコンの鬼の品質管理による試行錯誤は、こんな所にも。
それから,背面液晶モニターの厚みを,とことん薄くしたのには、実は訳があります。
この厚みが出てしまうと、それに合わせてファインダーの位置を後方にずらさないといけないので、光学ファインダーの倍率が低くなってしまうのだそうです。鼻があまり強く当たらないようにすることと、アイポイントと覗き易さを考えた時に,この倍率に落ち着いたのだそうです。もう,これは,ギリギリの選択だったとのこと。
D5000には、シャッター音を抑える「静音撮影モード」(クワイエットモード)があります。さっと撮って,上着の内ポケットにさっと入れると、さらにシャッター音が目立たなくなる。いいですねー。
そうそう、昔、フィルムカメラ時代に、フィルムが終わると,自動的に巻き戻してくれる機能,ありましたよね(今でも)。あれが,静かにしなくちゃいけないところで始まると,もう,赤面なんてもんじゃありませんでしたが,シャッター音も抑えられれば,抑えられるに越したことはありません。
今までのコンデジでは撮れなかったものが,撮れるカメラ。
もっともっと,思い出が残せるカメラ。
ニコンの思い,D5000で,かなり実現したのではないかと思います。
<Nikon D5000で気になったこと>
ライブビューで撮影するときに,
1.オートフォーカスが,早くなったとはいえ,まだ,まだ,反応が鈍く感じること。
これは,α350のクイックさを越えることを目標にして欲しいなぁ。
体感的には,ライブビューで撮るより,やっぱりファインダーで撮った方が気持ち良く感じる早さってところかな。
セミナーの後,某カメラ量販店でも確認してみました。
シャッターを切った後,ライブビューに戻るまでの時間が特にもどかしく感じます。これ以上短くできないなら,撮った画像を見せなくてもいいから,シャッターを切り続けたい。そういう設定がどこかにあるのなら,そうしたいのだけれど。ライブビューで,コントラストAFを使う時は,明るさやレンズの性能など,少し環境に左右される気がしました。
なので,やはりデジイチでのコントラストAFの限界を感じてしまいました。やはり,α350の位相差AFをライブビューで使えるためのセンサーを2コ入れたというのは,正解なような気がします。反面,D5000のファインダー撮影には,特に問題は感じませんでした。むしろライブビューより,位相差AFで撮影した方が相当,爽快。
ビデオを撮影する時は,AFが無いことに関して,けっこう言われていますが,マニュアルでフォーカスを合わせても,そこそこイケるのでは。
2.グリップ
セミナー当日も気になっていたのですが,もう一度,D90とD5000のグリップを,やはり某量販店で,両方の機種が並んでいるところがあったので,握ってみました。やはり,D90の方がグリップ深め。といいつつもD90でも,もう少し欲しいのだけれど。手が大きめの人には,ちょっと片手で持ち歩くときに,指先が疲れてしまう可能性があります。
3.動画を見せる環境
これね,メーカーの人は,あまり気にしていないみたいだけど,どれだけの人が最新のコンピュータと光インターネット環境をもっているのかな…ってこと。2,3年前のコンピュータしか持っていないと,デジイチで撮った動画をまともにみられるのは,自分のデジイチのみってこと,ありがちです。でも,自分のPCの大きな画面で,ハイビジョンの動画がキレイに動くのをみたいじゃないですか。まぁ,デジイチをテレビにつなぐという手はありますけど。
自分の環境が良くても,例えば故郷の両親に孫の動画を見せようにも,カクカクしちゃって,音は飛び飛びでって,ちょっとイヤですよね。ビデオに録画するという手はあるかもしれないけど…。
4.実際に買ってみると困るかもしれないレンズのラインナップ。
Nikonは,今のところ,ボディ内に手振れ補正は付けていません。その分,レンズに手振れ補正機能(VR)のついたものがありますが,この機能が付いてないレンズでは,手振れを抑えることが難しくなります。実際には,シャッター時間を短くできる「高感度」に対応しているので,あまり困ることはないのかもしれません。
購入にあたりもっとも気になるのは,今自分がペンタックスで一番よく使っている35mmのマクロレンズと同等のレンズがニコンには無いこと。なので,Nikkorレンズのオートフォーカス+VRに対応した35mmが出たら,買い時だと思っています。いや,極論を言っちゃうと,ニコンも,ボディ内手振れ補正のデジタル一眼レフカメラ出しちゃったらどうですか?初心者向けに。レンズも,軽くできるし。
5.上級機種との操作性の統一って,本当に必要?
エントリー機には,エントリー機用にデザインされたボタンでも良いんじゃないかなって思うこともあります。
ニコンのデジイチは,他のメーカーと違って,基本的には,ひとつのボタンにひとつの機能。つまり多機能になるとボタンの数がどうしても多くなります。メニューの設定でも,かなり深い階層までたどらないとならなくなることもあるので,デジイチビギナー向けの割り切り方やタッチパネルの採用なども必要なのではないかなぁと思ったりもします。いや,実際,以前に1ヶ月間D90を使っていたのに,D5000の設定でいろいろと戸惑うことがあったので。記憶力がなくなっただけかも知れませんが(笑)。
<D5000は,こんな人にオススメしたい>
文字通り,コンデジからステップアップしたいデジイチビギナーに。
機能豊富で,キレイな写真が簡単に楽しく撮れます。遊べる機能もついていて、長く使えるカメラです。
すでにデジイチをある程度使いこなしている人には,D90の後継機を待った方がいいかもしれませんが,ファインダーで撮影する楽しさは,D5000でも十分堪能できます。
上位機種の画質や機能をエントリーモデルにふんだんに取り入れるユーザー本位のニコンの姿勢,とても好ましく思えます。
D5000実写作例 AF-S DX VR Zoom-Nikkor ED 55-200mm F4-5.6G(IF) (拡大,オリジナルファイル)
モデルは,田崎愛美さん,山下実紗ちゃん,お疲れ様でした。ありがとうございます。
そして,
ニコンの関係者の皆さま,WillViiのスタッフの皆さま,楽しく充実した,「熱い」セミナーを,ありがとうございました!
というわけで,
ぜひ,このレビューを「みんぽす」で評価してください。
(「みんぽす」の使い方)
他のモノフェローズの皆さんの読み応えのある記事は,こちらからどうぞ。D5000のオフィシャルページからもリンクされています。
このレビューはWillVii株式会社運営の国内最大級家電・PC・携帯・ゲームレビュー・クチコミサイト「みんぽす」から、「モノフェローズ」として...「モノフェローズ」サービスに興 味のある方はこちら。
- 商品を無償でお借りして、レビューを掲載しています!
- ブロガーへの報酬、指示は一切ないので、完全に中立なレビューです!
みんぽすのモノフェローズになったいきさつは,こちら。
本記事と写真は,製品版のNikon D5000を使用したものではないため,動作,画質などに製品版との若干の違いが存在する可能性があります。ご了承下さい。
<参考>
ニコン・D5000オフィシャルページ
みんぽす・D5000レビュー&トラックバックセンター
デジタル一眼ニコン「D5000」開発秘話--ブロガー向けイベントで開発者らが語る
<オンラインショッピング情報>
Nikon D500(本体,レンズキット,Wレンズキット)(Yahoo!ショッピング)
Nikon D5000ボディの価格検索(楽天)
Nikon デジタル一眼レフカメラ D5000 ボディの価格(amazon)
Nikon D5000で使えるレンズ一覧(amazon)
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