イメージモンスターCanon EOS 7Dの「一眼の操」。β版実写レビュー<その2>
すでにお子さんの運動会などで活躍させた方もいらっしゃるのではないかと思いますが,キヤノンから10月2日に発売された最新のAPS-Cサイズ撮像素子と,上位機のEOS-1D系統並みの性能を持つハイマチュアクラスのデジタル一眼レフ「EOS 7D」を,みんぽす・モノフェローズセミナーで触ってきました。
詳しいことは書けませんが,この「EOS 7D」のロゴ一つにも,ものすごいやりとりがあったようです。開発のチームの方は,大変でした。
当日,試した7Dボディは,製品版ではありません。この記事や画像についても製品版としての評価ではないことにご注意下さい。なので,今回も,等倍画像へのリンクはありませんので,ご了承ください。
このレビューは「みんぽす」の無償セミナーに参加して書かれています。(詳細は末尾で)![]()
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キットレンズのEF-S15-85mm f/3.5-5.6 IS USM
([PR]Canon EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM EF-S15-85IS)
シャッタースピード:0.006 sec (1/160),絞り:f/5.6,ISO 400,焦点距離:85 mm,ISO 400
当日のセミナーでお話していただいたのは,ともに1982年キヤノン入社で,7D開発総指揮者の戸倉剛さんと画像&撮像システムの責任者の塩見泰彦さん。戸倉さんは,ルイジコラーニがデザインしたあのT90に関わってらっしゃった方,塩見さんは,フィルムカメラ時代,売れに売れたオートボーイシリーズに関わっていらっしゃった方です。僕もオートボーイジェットを2台持ってます。懐かしいなぁ。
↓
キヤノンは,最初はカメラメーカーではなくて,1934年に作られた試作機「KWANON」ブランドを名乗っていた頃「精機光学研究所」という研究所組織だったのだそうです。
銀塩フィルムカメラの「EOS10 QD」を僕も持っていますが,「EOS」というのは,「曙の女神」という意味なのだそうです。1987年に一号機のEOS 650を出してから,今,「EOS」ブランドのカメラは,全世界で1日に1万台売れているのだそうです。すごいなぁ。
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EF 70-200mm f/2.8L IS シャッタースピード:0.006 sec (1/160) 絞り:f/5.0 焦点距離:85 mm ISO感度:400
([PR]Canon EF Lレンズ 70-200mm F2.8L IS USM)
この立体感,繊細さ。
モデルは,妻鳥彩友里(めんどりさゆり)さん。
この写真を,撮影したレンズは,こちら。本物の「白いレンズ」です。
7Dとこのレンズで,こんな写真が撮れちゃうなら,もう,エントリークラスのデジイチを卒業したい人は,経済的な理由がなければ,素直に買った方がいいと思います。間違いなく,失敗写真が少なくなるはず。
「白いレンズ」は,キヤノンのレンズイメージですよね。この「白い」レンズ,いろいろなところで見かけますが,もっともっと増やしたいとのこと。この「白」と「黒」のせめぎ合い,某所でN社の方からもお話を聞いていたので,個人的にはとても面白かったところ。「白」は,フィールドでの熱対策や「清潔感」もあるのですが,一番は,目立つことですよね。スポーツ観戦に行かれたら,ぜひ,カメラマンが「白」と「黒」の比率,確かめてみてください。
で,僕らには,
部屋の隅(ったって,すごく広い部屋なんですけど)を,スタジオ風にセッティングしてもらって,EOS学園の講師もされている権藤先生が,このシチュエーションに合う設定を,7Dにしてもらっていたので,もう,ただ,撮るだけ。
中央1点でフォーカスしたかったんですが,我慢して,文字通りカメラ任せで,撮りました。あー,なんて素直。というか,ある意味これも,楽ちん。
あ,一つだけ秒8コマを実現するために変えたのは,
ここ。AI SERVOと高速連写モード。
ま,これも言われるがままなのですけれど。時間が限られているので,しかたありません。
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EF-S15-85mm f/3.5-5.6 IS USMの望遠端,使いまくりです。
上の写真は,7Dの大型ガラスペンタプリズムミラーです。
ファインダーの視野が100%なのは,やはりいいですね。ファインダースペックは,開発当初から決められていたとのこと。
ファインダーの四隅に写り込むものを排除すれば,それと同じものが画像としてできあがる。ファインダー倍率は等倍で,明るく見やすい。これ,ストレスないですよ。でも,視野率100%を達成するのは,高度な精度の製造過程も含めて,ものすごい技術がいるんです。ただ組み立てるだけでも達成できません。このために,製造過程のスタッフと共同で,新しい工具まで開発したそうです。100%は,「一眼の操」だと。倍率,視野角,接眼レンズの色収差,「見えの良さ」にとことんこだわったファインダーです。工業製品としての誤差があるので「約」100%です。これ,100%を超えてもいけないんですよね。写らないものがファインダー内にあっちゃいけないので。
これから買うカメラは,僕も視野率100%じゃないデジイチは,もう,対象外です。それくらい,重要なポイントだと思います。
で,7Dの写真は,なんだか,魔法にかけられたみたいに,良く写ります。それも際限なく何枚でも(連続撮影可能枚数はJPEGで最高126枚(UDMA対応CFカード使用時))。
まさに,EOSの開発コンセプト「快速,快適」。
「快速,快適」は,秒8コマ,高速かつ静かで正確なAF,操作しやすいこと,レリーズタイムラグも少ないので意志を活かせる,心地よい音,失敗しないこと,どんな状況にも対応できることなどなど…。キヤノンが,より快適に,よりよい写真が撮れる世界一のカメラを作るために,常に考えていることです。そして,当たり前ですが,「高画質」であること。APS-Cサイズの撮像素子をもつカメラとして,画素数が向上しただけでなく,広いダイナミックレンジと高感度に対応しています。素材の良さを活かせること,撮影時の印象を再現できること,鑑賞形態にもマッチしていることも高画質の条件です。
なんで8コマ(8fps)かっていうと,ハイアマ向けの一桁のモデルナンバーの新ラインナップとしては,1.5倍の性能アップが必須だろうとの結論からだったそうです。一瞬を逃さず,決定的瞬間を捉えるために連写機能は高ければ高いほど,「その瞬間」を捉えることができる可能性が高くなります。予測できない一枚のための,連写機能です。これが3fpsだと,1コマと1コマの間の瞬間を確実に逃してしまいます。いや,ほんと,これ7Dで撮ってみて,感じました。
もう,「出来ない」とか「やらない」という選択肢はなかったそうです。厳しい!
シャッターとミラーを駆動するダブルモーター,ハイパワーの電池などが,そのために開発されました。
中でもその高速シャッターで入力された画像処理をバックアップするのが,
ダブルの画像処理エンジンDIGIC4を搭載していること。この基板の右側に上下2つ並んでいるのがそうです。
撮像素子を内製できるキヤノンの強み,1800万画素のCMOS撮像素子の画素と画素の間のギャップを短くする努力も当然されています。素子の上に一つ一つついているマイクロレンズはギャップレス。フォトダイオードまでの距離も短くなり,DIGIC4でのノイズ低減処理を最適化,CMOS内部回路および周辺回路も低ノイズ化されました。
電気系統,メカ,制御のチームプレイで,「イメージモンスター」は,作り上げられました。
でも,早く動かせればよいわけではなくて,8fpsのスピードを達成するためには,機構的にサブミラーバウンド防止機構という,さらに複雑なメカニズムが必要でした。
さらには,シャッター音のチューニングも時間をかけて,感性の領域まで極めたそうです。
最高のレリーズ音を求めて,時間,周波数,音量の3つの要素を徹底的に分析して,世界中のハイアマチュアユーザーの方も対象に調査も行い,振動を抑えるための各部品の材質の見直しもして,「音を作り込んだ」とのこと。
前回も載せた動画ですが,「音」も,その速さも聴けます。撮影に集中しつつ,モデルさんも「ノセル」ことができる音だと思います。個人的には,もうちょっと静かな音にもできるといいのだけれど。あ,一応「静音モード」も2つ付いています。
操作部は,割と左に集中しているようですが,ま,片手ではちょっと重い重量とサイズですから,左手でもホールディングしながら操作することになるわけです。が,やっぱりシャッターまわりの右側に電源スイッチが付いている方が,「快速」な気がします。右下にあるよりはいいですね。
EF100mm f/2.8L Macro IS USM。
([PR]Canon EF100mm F2.8L マクロ IS USM EF10028LMIS)
ISがあるので,この写真も,手持ちです。
リミッターが付いているので,予め,撮影距離が決まっていれば,このレンズでも軽快に撮影できます。
EF100mm f/2.8L Macro IS USM 拡大
ダイナミックレンジが広いからか,同色でも暗部から明るい所までの階調も滑らかです。
僕の場合,AF測距点の数は,あまりこだわらないんです。7Dは19点ありますが,中央1点あれば,十分なので。
ただ,マクロの場合,ちょっとアングルを変えるとピントが変わってしまうので,最近のコンデジのように被写体に1回焦点を合わせたら,ずっとそれを追ってくれるような機能(AIサーボAF)が,もっとこちらの意思を反映してくれるといいなぁと思いました。マクロ撮影の時に,強くそれを感じました。
でなきゃ,EOS 7のような視線入力ですよ。また,復活して欲しいなぁ。
19点自動選択AFモードだったのですが,(偉そうですが)僕が思うポイントで合焦してくれないので,まだまだ改良の余地はあると思います。
ワイヤレスファイルトランスミッターWFT-E5も,面白そうです。有線・無線LAN,BluetoothとGPSに対応し,ワイヤレスで7Dを制御することも可能です。ウェブカムにもなります(もったいないけど)。iPhoneで7Dをコントロールするデモも見せてもらいました。このセミナーは,なぜかiPhoneユーザーが多かったので,食いつきのいいコトったら!10台同時にレリーズすることも可能です。これからも,「無線」は,もっと発展させて,より使えるようにしたいとのこと。どんどん意見を伝えて欲しいそうです。
EOS7Dは,「世界一のカメラ」を目指して,操作系もすべて見直して作った妥協のないモデルです。デザインからは想像できないほどの,チームプレイの努力の結晶が,ぎっしりと詰まっていることがわかりました。出てくる画像も,素人の僕らが見ても別次元。
欲しいです。
ただ,自分がPENTAXのK-7を使っていることから,やはり,これでもデカイんです。
「気軽に持ち歩ける」というのも「快適」の要素に加えて頂けると,かなり悩むことになりそうです。
質疑応答のときに,僕も質問をしてみました。
「ボディ内手ぶれ補正」は,考えていないのかと。
「レンズ内手ぶれ補正(IS)」でいくとのことでした。
僕には,現在のところは…と,含みを持って聞こえたのですが,レンズ内補正機構が入っていても,重量はさほど重くはならないのだそうです。強みは,シャッターを切る直前までファインダーのブレがないこと。なるほど,そうですよね。
すごく内容の濃いセミナーでした。だって,スライドに書いていないことをスライドの内容の数倍お話して下さるから,スライドだけ追ってると,追いつかなくなっちゃうほど。
チームで作っている「EOS 7D」の自信,じーんと伝わってきました。
SanDisk ExtremeProとの組み合わせが,「吉」です。せっかくの7Dの快速さ,メモリーカードがボトルネックになってはいけませんからね。
このような貴重な機会を与えて頂き,Canonのスタッフの皆さん,WillViiのスタッフの皆さん,参加されたブロガーの皆さん,ありがとうございました。また,お読み頂いた方には,長文にお付き合い頂き,ありがとうございます。
というわけで,Canon EOS 7Dのファーストインプレッションは,ここまで。
今回は,触れる時間もほとんど無かったので,操作性や画質に言及するのは,やめておきますが,
上の作例写真とカメラボディの写真から,何か伝わるモノもあるかも知れません。
一覧のスライドショー。直接ご覧になりたい方は,こちら
僕もしばらく,反芻したいと思います。
というわけで,
ぜひ,このレビューを「みんぽす」で評価してください。
(「みんぽす」の使い方)
このレビューはWillVii株式会社が運営する レビューサイト「みんぽす」から招待されたセミナーに参加して書かれています。 本セミナーへの参加及びレビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)本セミナーに参加された他の方のレビューはこちらのみんぽすTBセンターでご覧になれます。(WillViii株式会社みんぽす運営事務局)みんぽすのモノフェローズになったいきさつは,こちら。
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