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阿部秀之さん曰く,「見つけたから,撮る」

銀座のRING CUBEで8月8日に開催された「GXRの魅力 プロの眼 〜退屈なのは世の中か,自分か。」に参加してきました。
Thanks, Mr.Abe GXR +P10 + R-strap

講師は,写真家の阿部秀之さん

GXRについての(参加者のほぼ全員がGXRユーザーだったような…)というより,写真の楽しみ方,向き合い方について,いろいろと刺激されるお話を聞くことができました。

これから他でも同様のセミナーが開かれるようですので,記憶に残ったポイントを,自分の備忘録として記録しておきます。

阿部さんのブログを拝見していると,料理の写真がどうしても記憶に残りますが,ブツ撮りでも,ポートレートでも,風景でも,飛行機,電車や車などの乗り物,動物,でも,何でも撮っていらっしゃるようです。特によく撮っているのは,やはりヨーロッパの写真。

「写真を撮ってます。」って言うと,たしかに「どんな写真を撮られるんですか?」って聞かれますよね。日本人は,限定するのが好きなんだそうです。
でも,「花を撮って50年」とか,その花を撮るためにどれだけ苦労したかとかって話,見る側はあまり聞きたくないですよね。背景を知って味わいがマス写真もありますが,たいていはぱっと見た写真一枚で,どれだけ心を動かされるかだと思いませんか。

みんなが撮るから自分が撮るのでは,感動を与えません。キレイだから撮る。花の名前なんて知らなくたっていい。自分の好きなモノをたくさん撮ると,自分の好きな被写体,自分らしさがわかってきて,好きな写真を見てもらえるようになればいいのではないでしょうか。自分の好きなモノって,他のモノよりもうまく撮れるようになります。

小さな発見をしたときに写真って撮りたくなります。
でも,その瞬間を切り取れるのは,撮りたい具体的なイメージがすでに頭の中にできあがっているから。
なので,それを「見つけたから,撮る」わけなのだそうです。なるほど。

阿部さんのヨーロッパの写真も,無国籍というわけではありませんが,どこで撮ったかがわからない写真が多いのは,好きな部分を撮っているからのようです。

僕と参加者のみなさんが,ハッとしたのは,
「日の丸構図が悪いってのは,ウソ」,この一言だったのではないでしょうか。
一番いいものが中央に来るのは,当たり前のこと。
じゃぁ,日の丸弁当がダメなのか?梅干しが小さいのはダメだけど,梅干しの位置を上下,左右にずらしたりするか?って,なんだかとっても納得しちゃいました。弁当の見栄えも,作るヒトは考えているわけですからね。
二分割写真だって,大いにけっこう!だそうです。

写真が好きなのではなくて,旅が好き。写真は2番目,3番目。
好きなモノを記録に残したい。

その他,コネタもたくさん!
教会のステンドグラスには,スポンサーの名前が入っている。

オリンピックの時にカメラは進化する。(昔は,戦争時に)

RAW撮りするのは,ホワイトバランスを調整したいから。

富士山は,どんなに小さくても,フレームに入れない(イメージが引っ張られて,富士山の写真になってしまうから)

RICOHのフィルムコンパクトカメラ「R1」を見せてもらいました。これは,パトローネよりも薄い部分がある,それまでの常識を覆したカメラ。一番最初に実現したところがエライ!GXRも,他のメーカーだってカメラユニット交換式を考えてたっていうけど,出せなかったでしょ。

退屈なのは世の中か,自分か。退屈にしているのは,常識や目に見えない制約。

一眼が必要ないヒトまで一眼カメラを買っているのではないかという湯浅プレジデントの一言が紹介されました。

「いいな!」って思ったら,もう撮っていた。これが,キャンディドフォト。
コンパクトで高画質なら,一眼レフを持ち出す必要はないし,大きなカメラでは,被写体が構えてしまって,自然な瞬間が撮れない。シーンや気分に合わせて,視点を切り替えるようにカメラユニットを交換できるのが,GXRの利点。ユニットを替えると撮りたいものが変わることも。

GXRの核となるカメラユニットは,A12 50mm。シャープで切れがいいこと,丸いボケが画像周辺でも口径食なくキレイに出る欠点のほとんど無いカメラ。レンズの欠点を出さないように撮るのがプロの仕事だけど,A12 50mmのユニットはとても良くできている。

記念写真こそ,丁寧に撮ろう。
風景と一緒に写すなら,風景メインと人物メインの2枚撮りを。
笑顔の写真ばかり撮る必要はないのだけれど,家族は,どうしてもぞんざいに撮りがち。被写体の気分を害するような撮り方をしちゃダメ。画質の悪いケータイのカメラなんかで撮るな,残らないぞ。

なので,プリントすること。
デジタルで保存していても,いずれ消えてしまう。
紙に焼くこと,アルバムを作ることが,写真の愉しみ。

阿部さんの軽妙で楽しいお話と説得力のある写真の数々で,笑いの絶えない,あっという間の1時間半でした。

写真を撮るためのヒントを,これだけたくさん聞ける機会はなかなかありません。
阿部さん,貴重なお話を,ありがとうございました。

本当は,最近上梓された,

デジタル一眼そうじゃない、こうなの!(楽天)
デジタル一眼 そうじゃない、こうなの!(amazon)
こちらの本を持って行こうと思ったのですが,この日までに手に入らず,後日届いたところです。

内容を見直すと,スライドで見せていただいた写真や,ワークショップで言われていたこともたくさん入っています。カメラの基本,撮影の基本,リコーのGXRのショートレビューやレタッチ,プリントの基本など,ちょっとカメラに慣れてきた人が読んでも,なるほどそうだったのか!というヒントがたくさん。「じつは難しい,なにを撮ればいいのか」では,阿部さんがおっしゃっていた「好きなモノを撮る」。アマチュア写真家の被写体はバリエーションが乏しい。なんでみんな同じモノを撮るんだろう?ほんとにその被写体が好きで撮っているんですか?もっと言っちゃうと,写真を撮らなくてもその場所に行きたいですか?ってあたり,読んでいると阿部さんの声が聞こえてきそうです。好きで撮っていると,いいものが見つかりそうな気がしてきます。

撮りたい写真のイメージを持つためには,もっともっと自分の好きな写真もみつけないといけませんね。写真を撮りつつ,写真を見る機会も増やそうと思います。

阿部秀之さん,RICOH RING CUBEのスタッフのみなさん,素敵な時間をありがとうございました。

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このストラップをつけるために8kgの減量をしたという阿部さん。僕も頑張ろうっと。ストラップの幅と厚みがないとかっこよく見えないんですよね。

BLACKRAPID Rストラップ

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コメント

こんばんは!
記事、とても興味深く拝読しました。
日の丸構図をなんとなく避けていましたが、
被写体と向き合う意味では、
堂々と日の丸構図で撮ることは、
かえって潔いと感じました。
好きなものを撮るということも、問い直したいな…。
素晴らしい記事をありがとうございました!

投稿: ebapi | 2010.08.19 02:10

この度は、ブラックラピッドのR-ストラップの宣伝をしていただき、ありがとうございました。
お時間がある時には、当JPサイトのビデオも覗いてみてくださいね。
 
佐藤

投稿: ブラックラピッドの佐藤 | 2010.08.19 09:02

ebapiさん,コメントありがとうございます。
日の丸構図については,僕も,すっきりしました。
好きなものを,好きなように撮ればいいんですよね。
阿部さんのセミナーで,肩の荷が下りたような気がします。
機会があれば,ぜひ。

ブラックラピッドの佐藤さん,コメントありがとうございます。
一言書いただけなのに,探し出していただき,恐縮です。もちろん,動画は,拝見済みですよ。便利で,かっこいいですよね。ただ,阿部さんもおっしゃっていたように,太っていると,斜めがけはかっこ悪いんですよね。太っていてもかっこよく見える製品もぜひ(笑)!

投稿: HAMACHI! | 2010.08.25 07:32

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