想像と創造,肉体と空間の習作。フランシス・ベーコン展
ピカソと並び称される,フランシス・ベーコンは,アイルランドのダブリン生まれで,ロンドンを拠点にして世界的に活躍した画家です。Wikipediaをみたら,なんと16世紀の哲学者のフランシス・ベーコンの子孫(怪しいという話も)だそうで,ちょっとびっくり。
このフランシス・ベーコンに写実的な絵を描かせたら,きっとすごく上手いんだろうなぁ…とか,ポートレート(肖像が)として描かれたヒトは,自分の作品を見て,どう思ったんだろう…,ベーコンを知らずに(ってことはないだろうけど)描いてもらったヒトの中には怒り出す人もいたんじゃないかなとか,どうして写実的ではないのにこんなに動きを感じたり,立体感を感じたりするんだろう?とか,とにかく,いろいろな感情とか想いとかを,突っつかれる絵画が,たっぷりと30点以上。
写真を撮るヒトは,写真だけじゃなくて,絵画を見るのも,刺激になるよね。
特に,写真を作品として撮る場合,「抽象化」は避けて通れない部分でもあるので,フランシス・ベーコンのような,そぎ落とす,パーツを再構成する,移ろいを表現している画家の作品は,きっと何か,どこかで,血となり,肉となるはず。
なかでも,三幅対(トリプティック)は,圧巻。
ストーリー性を拒絶する三連の絵画って,見ているこちらが試されているような気持ちになります。
想像力と構成力,そして新しいものを生み出す創造力,ものすごいエネルギーを感じます。
没後の大規模な個展としてはアジア初。単なる回顧展ではなく,ベーコンにとって最も重要だった「身体」に着目し,その表現方法の変遷をたどるテーマ展でもあります。肉体とそれを閉じ込める,あるいは変わっていく場としての空間の表現,ヒトによっていろいろな解釈ができるとは思います。「気味の悪い顔」と一言で片付けることもできるけど,時間と空間の要素を加えると,こんな写真が撮れることもあるよなぁ…なんて思ったり。
ガラスで,絵画と鑑賞者を隔てることにもこだわったフランシス・ベーコン,生前の動画や,アトリエの写真なども公開されています。筆の運びの立体感,左から見たとき,右から見たとき,正面から見たときの印象の違いなどは,実際に会場に足を運ばないとわかりませんよね。絵の具を投げつけた部分なんて,もう!
見た目はきちんとした,でもナイーブなオジサンに見えるんだけど,まわりの人は,大変だったろうなと(笑)。
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