東京・文京区「月の湯」営業終了
親しい友人が,いつも話してくれていた,東京最古の木造建築でも有名な,文京区にある銭湯「月の湯」。
わりと近くなので,いつでも行けると思っていたら,なんと先月で,営業終了とのこと。
見学会があるというので,慌てて,その姿を目に焼き付けてきました。
「月の湯」は昭和8年創業。建物は築80年以上で,昭和2年に目白台に建設され,その後現在の位置に引き家(建築物をそのままの状態で移動する建築工法)されたもの。
都内では最も古い木造建築の銭湯とのことで,全国の銭湯ファンの聖地でもあります。
屋根は唐破風(からはふ),
お寺に見られるような,
高い格天井(ごうてんじょう),ほら,湯船に浸かって,「極楽,極楽…」っていうでしょ?
天国にちょっとだけ近づける,「非日常」の場所としての銭湯,今,探したって,なかなかありません。
いや,銭湯が東京で流行った頃の「宮造り銭湯」。大正12年の関東大震災の後,多くのお客さんを喜ばせるために,考えられたデザインだそうです。
ちょっと前までは,この脱衣カゴの前面に扉が付いていて,番台から,電気仕掛けで,開け閉めができたそうですよ。当時としても,そうとうモダンだったんですね。
ちょっと低めの番台には雲形の目隠し,
この欄間だって,きっと,すごくこだわって作ったものじゃないかと…。
2年に1度塗り替えられてきた,銭湯の記号的象徴のペンキ絵「富士山」
絵師の早川利光氏の遺作となった「音止の滝」
石田庄太郎氏作の「鯉のタイル絵」は,縁起のいい鯉の滝登りで,ますます「お客が来い」,なんて意味もあるようです。
壁の絵にある,湖,海,川と,湯船の湯が,まるで富士山から流れ出てきたかのようにも感じさせる一体感。
一日の疲れを癒し,身体の垢だけじゃなく,浮き世の汚れも,一緒に落としてくれる,そんな銭湯「月の湯」の代々のの店主の思いも伝わってきます。
ね,これぞ,「銭湯」じゃないですか?
映画やコマーシャルなどにも,頻繁に登場してきた,この「月の湯」,このままだと,解体の憂き目に…。
歴史的,文化的にも価値が高い,文京のこの地で生まれ育った人たちが,親しんできた銭湯を,なんとか,文化遺産的な形で,保存していく方法があればいいなぁと思います。
気がつけば,僕の生まれ育った街にも,ひとつ,またひとつと,歴史のあるものが,いつの間にか,人知れず失われています。味気ないマンションが建ったことに気がついてからでは,遅いですよね。
今回の「おまけの『月の湯』見学会」は,文京建築会ユースの主催で行われました。いろいろと,貴重なお話も聞かせて頂き,ありがとうございます。微力ながら,応援しています。
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