読んでスッキリ。「誤解だらけの遺伝子組み換え作物」

誤解だらけの遺伝子組み換え作物

あなたは、遺伝子組み換え作物(GM作物）に対して，肯定的ですか？ 否定的ですか？
また，それはどうしてですか？
現実を，確信を持って正しく知ることができる書籍が発売されました。

株式会社エネルギーフォーラムより，書籍「誤解だらけの遺伝子組み換え作物」を，レビューズ経由で献本頂きましたので，ご紹介します。

実は，日本ではすでに20年近くも遺伝子組み換え作物を利用しているという事実をご存じでしたか？

「選べるなら、遺伝子組み換え作物以外を」と思ってませんでしたか？でも，日本では商業的な遺伝子組み換え作物の生産は行われていないことも，意外と知られていないことかもしれません。

「遺伝子組み換えでない」，この文句，よく見かけますよね、豆腐とか，納豆とかの内容表示に。

これ，危険性の有る無し云々ではなくて，単なる選択のための情報提供なんですよ。身体への影響がまだわからないからわざわざ書いてあるのではありません。
さらに，もしかしたらこの表示，高く売るための「決まり文句」だったりするのです。
「遺伝子組み換え作物を使わないこと」が，売れる条件になっているのです。

日本では，遺伝子組み換え作物に関する農水省の計画も頓挫。
遺伝子組み換え作物への対応が遅れ，世界から取り残されている日本。
「遺伝子組み換え作物を使わないこと」が，農業生産者の足かせ、消費者の選択の機会を奪っているのが，日本の状況。

遺伝子組み換え作物を生産すると，どんなメリットがあるかというと，
農薬の使用量を減らせる，
収穫を増やせる，
土壌の保護，
森林の伐採の削減，
二酸化炭素の排出量の削減，
発がん性もない。
世界の人口増加にも対応できる。
栄養素を加えることも可能で、貧困に喘ぐ国の疾病や障害を確実に減らせる。

じゃぁ，デメリットは？
これまで，怖い話，たくさん聞かされましたよね。
遺伝子組み換え作物の種子が遺伝子組み換えでない作物の種子より高価なことくらいです。

遺伝子組み換え作物といっても、DNAの配列が大きく変わるものではありません。
これまでも行われてきた品種改良だって，実質的に遺伝子を操作しているのと同じです。
遺伝子組み換え作物に反対する人たちがたくさんいるのは，倫理的，哲学的問題なのかも。

誤解がなくならない原因は，悪い話(ニュース)に飛びつくメディアのゆがみ報道と，消費者の馴染みのない「なんだかわからないもの」への心理的恐怖や不安感。人間は，自分の価値観にあった言葉を信用する傾向がありますからね。

日本はすでに，遺伝子組み換え作物の輸入大国で，輸入している主要穀物の半分以上が組み換え品種。好むと好まざるに関わらず，日本の食生活に組み換え作物は欠かせない状況なのです。

でも，国内で遺伝子組み換え作物を生産しようとすると猛反対される異常な事態は続いています。
そのため、日本の環境に適した遺伝子組み換え作物の開発が遅れ、当然商業栽培も行われていないのが現状なのです。

「誤解だらけの遺伝子組み換え作物」の執筆者は，日本と海外のジャーナリスト，学者，消費者，生産者の総勢30人。特に日本の主要紙のジャーナリストがそろって執筆しているのも，この本の目玉です。

事実に基づかずに感情的に適当に書かれた恐怖を煽るトンデモ書籍とは違って，正しい論文の書き方に沿った，エビデンスのある研究を積み上げた総論的書籍です。

読んで安心。スッキリします。
わかりやすくて，読者にちゃんと伝わってくる本です。

僕も今まで，遺伝子を扱う研究もしてきているのに，遺伝子組み換え作物についてはきちんと体系的に考えたことがありませんでした。GM作物の現状を詳細に知ることができて，また，今の日本を象徴するような出来事も，俯瞰的な見方もできるように考えられて作られています。

「誤解だらけの遺伝子組み換え作物」，この本に出会えて良かったと思っています。

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